石川県 七尾城 ― 2017年05月04日
七尾城史資料館から本丸駐車場にやってきました。 ボランティアガイドの方も待機しているので、案内を聞きながらじっくり見る事も可能です。
正確な築城年代ははっきりしませんが、16世紀前半(戦国時代前期)と思われます。
ただ、初代畠山満憲の頃にも、砦のような物が存在していたようです。 これだけの規模の山城なので、徐々に整備されていったのかも知れません。
この地は能登の守護職であった畠山氏が代々治めていた場所ですが、1577年に上杉謙信によって七尾城が落城した事により、畠山氏による支配が終わります。
前田利家に支配が移ると、拠点を小丸山城に移した為、1589年に廃城になります。
駐車場から城に向かって歩き始めて、最初に目に入ったのがこの大きな堀切です。
本丸と長屋敷を分断する為に実行的に掘り下げられました。
なお、江戸時代には、ここに関東橋なる橋が架けられていたようですが、その頃は既に廃城になっていたはずなので、いったい何の為の橋だったのでしょうか?
調度丸跡
弓矢などの武具を整えた調度丸があった場所です。
奥の方に調度丸の物と思われる石塁が横切ってます。 結構広い空間で、再現CGを見ると大きな建物があったようです。
大手道
調度丸に通じる大手道です。 この道を下った先に寺屋敷跡がありますが、体力に自信が無いので今回はパスしました...。 調度丸への入り口は直角に折れ曲がっており、虎口を形成しているようです。
桜馬場の石垣
階段状に野面積で積まれた石垣が美しいです。 七尾城の一番の見所かも知れません。
この石垣の上が桜馬場になります。
16世紀前半に自然石をそのまま積んだ石垣が、崩れずに現在まで残っているのが凄いですね...。 それにしても、この石、こんな山奥までどこから運んだのだろう...。
桜馬場
現在は杉の木が生い茂っていて何だか分かりませんが、軍馬訓練用の広場です。
東西に45m、南北に25m の広さがあります。 昔、馬に乗った武士がここを走り回っていたのでしょうか...。
温井屋敷跡
桜馬場を二之丸、三之丸方面へ進むと温井屋敷跡に着きます。
畠山氏が支配していた地ではありますが、重臣たちの力がかなり強かったようです。 温井氏も力を持った重臣の一人で、同じく重臣の遊佐氏と対立します。 大槻一宮の合戦で遊佐氏を撃退すると、畠山氏を傀儡化するほどの力を持ちますが、こんどは畠山氏、遊佐氏との戦いに敗れて温井氏が追放されます。
これで少しは落ち着くのかと思いきや、今度は主君である畠山義綱、徳祐が遊佐氏、長氏によって追放され、義綱の嫡男義慶を担ぎ上げます。 もう、メチャクチャですね...。
二之丸
温井屋敷跡をさらに奥に進むの二之丸に着きます。
二之丸と温井屋敷跡の間の石垣は今でも残されています。 下の写真の奥が二之丸になります。
三之丸
二之丸と三之丸の間は大きな堀切で分断されています。
もっとも、素人目には、これが人工的に掘られた堀切なのか、自然の地形を利用した物なのかは判断できませんが...。 下の写真の右側の崖上が二之丸になります。 帰りにこれを登るのかと思うと気が滅入ってきますね...。
三之丸に到着。 七尾城の曲輪の中では最大規模になります。
ここまで来ると、他に誰もいないですね...。 これ以上山を下ると戻るのがしんどいので、本丸側へ戻ろう....。
遊佐屋敷跡
やっと、桜馬場の反対側にある遊佐屋敷跡まで戻ってきました。 こちらが温井氏と対立していた遊佐氏の屋敷跡です。
追放された、畠山義綱が上杉謙信の援助を受けて七尾城に侵攻すると、今度は敵対していたはずの温井氏が七尾城側に加わり籠城戦に出ます。
籠城戦には上杉謙信も手を焼きますが、謙信は内通者を探っており、それに応じた遊佐続光、温井景隆らの手引きによって上杉軍が城内に侵入、能登畠山氏は滅亡し、城を離れていた長連龍以外の長氏も討ち取られました。
しかし、謙信の病死によって流れが変わり、遊佐氏、温井氏は長連龍の攻撃によって滅亡します...。 領内がこれだけバラバラだと、どうにもならないですね...。
本丸
本丸を守る石垣が見えてきました。 野面積による高さの限界なのか、この城の石垣は階段状の物が多いです。 本丸の広さは南北に40m、東西に50m。 武装してここまで登ってくるのは至難の業ですね...。 この城は正攻法で落城させるのは難しいと思います。
本丸には少し高台になっている場所があり、ここには城山神社が鎮座してました。
何時頃からある神社なのは不明ですが、せっかく来たので参拝します。
ふり返った時の景色が最高ですね。 すごい山奥に思いましたが、海がすぐ側だった事に気が付きます。 天気が良い日に来れて良かったです。
本丸から下を眺めた時に気が付いたのですが、本丸は、本丸駐車場のすぐ上だったのですね...。 バイクを止めてきた駐車場が本丸から良く見えます。
ここの見所は階段状に積まれた野面積の石垣ですが、それよりも激しい仲間内の対立を繰り返した歴史的背景かも知れません。 一枚岩になれない組織のモロさを知る良い教材かも知れません。
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