京都府 萬福寺(1) ― 2023年11月25日
京都府宇治市の黄檗山萬福寺は、中国僧 隠元禅師が 1661年に開山した禅寺です。
1654年、当時 63歳と高齢だった隠元は、日本からの招きに応じて弟子 20名を伴ってに長崎に来日しました。 隠元は、最初、長崎の興福寺に滞在しており、その後上京して萬福寺を開きます。 長崎の興福寺と同様に、萬福寺は日本では珍しい中国様式の寺院です。
当初は「臨済宗黄檗派」でしたが、明治以降は独立した「黄檗宗」になります。
中華風の寺院として有名だったので、今から14年位前に一度訪問した事があります。
黄檗駅から徒歩5分の立地条件ですが、何故か行く機会が無く、久々の訪問になります。
総門
門の屋根の真ん中部分が一段上がっている、牌楼式と呼ばれる中国風の門です。
少し早めの到着となり、訪問すると総門の前に中国からの観光客と思われる団体さんが開門を待っていました。 中国人にも知られている寺院のようです。
訪問時はちょうど、「黄檗ランタンフェスティバル」が開催されていた期間だったので、門の前にランタンの門がありました。 イベントの事を知らなかったので日中の訪問になってしまい残念でした...。 これなら昨晩来れば良かった...。
完全に訪問する時間帯を間違ってますね...。
夜に来たら楽しそうですが、そのかわり混雑もしそうですけど...。
三門
1678年に建立された門です。
扁額の「黄檗山」は、 隠元禅師の書です。
それほど中華風に見えませんが、所々、中国の技法が使われているようです。
屋根中央の火焔付宝珠が特徴的です。 この門が受付になっており、これより先は拝観料が必要です。
石條
境内の参道の中央には菱型の石が並べられており、その両脇を石條で挟んだ変わった物です。 これは龍の背を模しており、本来、菱型の石の上に立てるのは住持のみです。
そんな事を知らずに、皆、普通に歩いてますが...。
ランタンフェスタ中は夜店も出ていたみたいです。 毎年やってるのであれば、いつか来てみたいですね...。 もっとも、この時期の京都・奈良は、ホテルの予約も大変なのですが...。
通玄門
1665年に建立された、開山堂の入り口となる門です。
普通の四脚門に見えますが、屋根の形が中華風に感じます。
開山堂
1675年に建立された建物で、隠元禅師像が安置されています。
毎月1日、15日には僧侶が祝拝します。 毎年、4月 3日(隠元禅師の命日)には、他山から僧侶が招かれ開山祥忌が執り行われます。
扁額の「開山堂」の書は、2代目住職木庵の書です。
柵の卍模様などが、ちょっと中国風に感じます。
寿塔
隠元禅師が亡くなる前の 1633年に建立した、隠元禅師の廟廊のようです。
ここからは柵で分かりにくいのですが、六角堂のようです。
当初、3年で帰国する予定だった隠元禅師ですが、江戸幕府の働きかけによって日本に留まる事を決意します。 隠元禅師は禅の事以外にも、日本の文化に大きな影響を与えました。
(「インゲンマメ」も、「隠元」が名前の由来らしいです。)
合山鐘
寿塔から、天王殿の方に廻廊を進むと、途中で鐘が釣られました。
現在の鐘は 1696年に再鋳造された物のようで、合山鐘と呼ばれています。
この鐘は、特定の儀式の時だけ撞かれるようです。
萬福寺は紅葉も綺麗です。
昼は紅葉、夜はランタンフェスタとは贅沢ですね..。
天王殿
萬福寺の玄関的な役割の建物で、この建物を通って伽藍の中心部に入ります。
1668年に建立された建物で、本堂の前にこのような建物を配置するのは、中国式の伽藍配置のようです。 「×」字状の匂欄も中国の様式らしく、日本の寺院では珍しいようです。
ここに安置されている仏像も見所の一つだと思います。
弥勒菩薩
天王殿の中央に安置されている弥勒菩薩(布袋)坐像です。
弥勒と布袋の見た目はまったく違いますが、中国では、弥勒の化身が布袋と伝わります。
萬福寺では、この布袋像は弥勒菩薩とされています。
多分、萬福寺では 1663年に作られた、この仏像が一番有名だと思います。
元々、松隠堂にあったようで、天王殿が建立された時に移されたのでしょう。
笑顔なんですが、ちょっと顔が怖いです..。
四天王像
天王殿内の四方に配置されている、2m を越える四天王像も迫力があります。
1674年に作られた仏像なので、天王殿の建立に合わせて作られた仏像なのかも知れません。
仏像の彩色も、だいぶ残ってますね...。
韋駄天
弥勒菩薩像(布袋像)の背中を守るような場所に安置されています。
1704年に中国で作られた仏像が日本に渡来した物のようです。 四天王像と比べると、少し雰囲気が違います。 昔は別の韋駄天像が安置されていたようで、その時の像は文華殿(宝物館)に安置されているようです。
萬福寺は、かなり大きな寺院です。
これから伽藍の中心部分を拝観します。
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