栃木県 渡良瀬遊水地、貯水池2025年11月22日

渡良瀬遊水地は栃木、群馬、茨城、埼玉の 4県にまたがる日本最大の広大な遊水地です。
面積は 3,300ha あり、利水と自然保護を両立する事を条件にラムサール条約湿地にも登録されています。
渡良瀬遊水地が造られたきっかけは、1890年と 1896年に発生した洪水により、足尾銅山の有害な重金属が流れ出た公害が発生した事です。 河川の氾濫により発生した公害により、足尾銅山の反対運動が始まり、政府は公害被害を軽減する為遊水地の建設を計画しました。 皮肉な事に、反対運動の中心だった旧谷中村は遊水地の建設の為に強制廃村となり他の土地に移住する事になります。 渡良瀬遊水地と足尾銅山との関係は、今回のダムカード集めで初めて知りました。

わたらせ自然館
渡良瀬貯水池のダムカードの配布場所は複数ありますが「わたらせ自然館」で貰う事にしました。
駐車場に、「蛯名瀬村役場跡」の看板があったので、どうやらこの辺りは村役場だったようです。
ダムカードを見て気になったのは、本体着工 1976年、完成 2002年と記載されていた事です。
渡良瀬遊水地は 1918年頃には堤防が完成しており、ダムカードに記載された本体着工年には既に遊水地として機能していたはずです。 少し調べてみた所、水需要が増加した事により、「遊水地」の中に「貯水池」を作る事になりました。 その、「貯水池」の建設が始まったのが 1976年のようです。
ダムカードを見ると「貯水池」と記載されており、渡良瀬貯水池は国土交通省の説明では「平地ダム」となっています。
なお、「貯水池」の建設は 1990年には完成して管理に移行しています。 完成年の 2002年の方は、何なのか良く分かりませんでした...。
わたらせ自然館

子供広場ゾーン駐車場
遊水地は 3つのブロックに分かれており、今回は谷中ブロックにある駐車場にバイクを停めました。
かなり広い駐車場なので、ここが満車になる事はぼぼ無いと思います。
ただ、谷中ブロックは月曜日(祝日の場合は翌日)が定休日となっています。 過去に一度、渡良瀬遊水地に来た事がありますが、偶々月曜日だった為にここまで入る事が出来ませんでした...。
奥に見える建物は「渡良瀬遊水地ウォッチングタワー」です。
渡良瀬遊水地・子供広場ゾーン駐車場

渡良瀬遊水地ウォッチングタワー
渡良瀬遊水地の様子が一望できる展望台です。
ここには渡良瀬遊水地に関する展示パネルも設置されており、足尾銅山によって発生した公害が渡良瀬遊水地建設に至った経緯も展示されています。
渡良瀬遊水地ウォッチングタワー

渡良瀬遊水地ウォッチングタワー

展望台から調節池の様子を眺めた所です。
渡良瀬遊水地は、渡良瀬貯水池と調節池で構成されており、貯水池の北部には 3区画の調節池があります。 普段の調節池はヨシ原で、大雨で増水した時に調節池に水を溜めて洪水を防ぎます。
渡良瀬遊水地は渡良瀬川、思川、巴波川が交わる場所にあり、遊水地の総貯水容量は 1.7憶㎥ と言う、とてつもない大きさです。
河川の水位が上がると堤防を乗り越えて調節池に水を溜める構造のようで、河川の水位が下がれば排水門を開けて調節池から排水します。
渡良瀬遊水地

渡良瀬遊水地

自動除塵機
除塵機は川のゴミを取り除く装置なので、普通は川の流れの中に設置すると思うのですが、この除塵機は川の側面に設置されています。
この場所だと普段は除塵機として機能しないと思うのですが、もしかしたら調節池に溢れるほど増水した時の為の装置なのかも知れませんね...。
渡良瀬遊水地・自動除塵機

渡良瀬遊水地・自動除塵機

池内水路
調節池の中を流れる水路です。
詳しい事は分かりませんが、恐らく、洪水時に調節池に溜まった水を排水する時の水路だと思います。 普段は河川のように流れはありません。
奥の方に北水門が見えます。
渡良瀬遊水地・池内水路

北水門
渡良瀬貯水池の北ブロックにある水門です。
この水門は少し不思議な構造をしており、ゲートは2門あるように見えるのですが、水路に繋がっているのは片方だけです。 また、南ブロックにある 3台のポンプが渡良瀬貯水池への取水と排水を行っているようなので、この水門の役割が解り難いです。
少し調べてみたら、渡良瀬貯水池の北側にあるヨシ原は浄化設備でもあるようで、渡良瀬川から取水する場合、ヨシ原に水を流して浄化した後、この水門から貯水池に流しているようです。
多分、今の北水門の状態は、ヨシ原浄化設備側のゲートを開放し、渡良瀬貯水池に取水している状態だと思います。
渡良瀬遊水地・北水門

渡良瀬遊水地・北水門

渡良瀬貯水池の北ブロックにあった設備。
何の設備だろう...。
長柄瀬貯水池・北ブロック

子供広場ゾーンを通って史跡保存ゾーンに移動します。
渡良瀬遊水地を空から眺めるとハート型をしており、ハート型の窪み部分が史跡保存ゾーンで、そこは旧谷中村があった場所です。
長柄瀬貯水池・子供広場ゾーン

長柄瀬貯水池・子供広場ゾーン

谷中村役場跡
史跡ゾーンにある四阿がある場所が旧谷中村の役場があった場所です。
この辺りは室町時代から人々が生活していたようです。 江戸時代には 8つの村に分かれてましたが、1874年(明治 7年)に篠山村、西高砂村、高砂村、赤渋村、鎌立村、横堤村が合併して内野村になり、1889年(明治 22年)に内野村、恵下野村、下宮村が合併して谷中村になりました。
この辺りは洪水地帯でしたが肥沃な土地だったので農業が盛んでした。 また、洪水対策として土塁の上に水塚と呼ばれる建物を持つ家屋が多かったようです。
渡良瀬遊水地・谷中村役場跡

大野豊蔵屋敷跡
谷中村役場跡の隣にあった大野豊蔵氏の邸宅跡です。
土塁のように盛土がしてあり、その上に「大野豊蔵屋敷跡」の案内がありました。
洪水が多い土地柄だったので、少し盛土して家を建てたのだと思います。
渡良瀬遊水地・大野豊蔵屋敷跡

渡良瀬遊水地・大野豊蔵屋敷跡

史跡保護ゾーンには、谷中村の住居跡が残されています。 建物は残ってませんが、多くの住居跡には盛土したような痕跡が残されています。
足尾鉱毒事件の解決に奔走した国会議員の田中正造は議員を辞職した後も足尾鉱毒事件に関わり続け、遊水地の建設が決定して谷中村の廃村が決定すると正造は反対活動の為に谷中村に移住します。 正造以外の住民も村に残りますが政府によって家屋の強制破壊が行われます。 それでも仮小屋を建てて抵抗しますが 1915年(大正 4年)に全住民の移住が完了します。
谷中村の人々は、公害被害を受けた上、故郷まで奪われる事になりました。 渡良瀬遊水地は多くの犠牲の上に成り立っています。
渡良瀬遊水地・水野要作屋敷跡

延命院跡
室町時代から旧谷中村にあった寺院のようです。
渡良瀬遊水地の建設により旧谷中村が廃村になると延命院も廃寺になったようです。
廃寺後に多くの墓石は遊水地の外にある谷中村合同慰霊碑に移されましたが、今でも関係者の要望により墓石や供養塔が残ります。
1986年、埼玉県幸手市の消防署施設から延命院の半鐘が発見され実物は栃木市藤岡歴史民俗資料館に保管されました。 延命院跡にも半鐘が吊るされてますが、それとは別物のようです。
渡良瀬遊水地・延命院跡

渡良瀬遊水地・延命院跡

渡良瀬遊水地・延命院跡

渡良瀬貯水池は本当に広いです。 ここから駐車場に戻ってバイクで中央エントランスまで移動すれば第 1排水門まで行く事も可能ですが、ここから駐車場に戻るにしても 1km 以上あり、中央エントランスからもさらに片道 1.5km ほど歩く事になります。 
今回は渡良瀬貯水池の谷中ブロックを1周して駐車場に戻る事にします。
それでも、一番小さい谷中ブロックを1周するだけで 4.5km もありますが...。
多分、じっくり渡良瀬貯水池を見て周るのであれば自転車を借りた方が良さそうですね...。
長柄瀬貯水池・谷中ブロック

南ブロックにあった管理設備です。
何の設備なのか正確な所は不明ですが、水位などを監視する設備らしいです。
必要な電力は屋上に設置した太陽光パネルで発電しているみたいです。
設備への出入りはボートでしょうか?
渡良瀬貯水池・南ブロック

東橋に到着。
渡良瀬貯水池の谷中ブロックと南ブロックは道路で分断されてますが、この橋の部分で湖が繋がっています。 ここまでかなりの距離を歩いてきたので疲れました...。
自転車で走ってる人が多く、やっぱ、自転車をレンタルすべきでしたね..。
渡良瀬貯水池・東橋

谷中ブロックに設置された黄色い設備。 野鳥の休憩所になってますね...。
多分、水質検査用に設置された観測ブイだと思います。 同じ物が北ブロックにもありました。
pH や酸素濃度、水温、水質などの情報を収集し、魚の毙死事故などを監視しているようです。
ラムサール条約による自然保護の関係でしょうか?
渡良瀬貯水池・観測ブイ

中の島にある野鳥観察台です。
ここから谷中ブロックの野鳥を観察する事が出来ます。
ここからマガモやカンムリカイツブリを観察する事が出来ました。
ただ、野鳥の撮影は 300mm では厳しいですね...。
渡良瀬貯水池・野鳥観察台

渡良瀬貯水池・マガモ

渡良瀬貯水池・マガモ

中の島からさらに 2km 近く歩いてようやく駐車場に到着。
天候も良く、思ったよりも良い所でした。


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