山梨県 深城ダム ― 2024年06月08日
深城ダムは山梨県大月市にある重力式コンクリートダムです。
山梨県には県が管理するダムが 6基ありますが、ここは 5番目に完成したダムです。 着工は 1996年で、完成は 2005年なので、それほど古くはありません。
ダムは着工までが大変なようで、ダム建設の為の予備調査が始まったのが 1974年、実施計画調査は 1978年。 実施計画調査が始まると水没家屋 31戸との交渉が始まり、補償交渉が妥結したのが 1989年です。 ダムは着工までが本当に大変ですね...。
深城ダムの主な利用目的は洪水調節、灌漑用水、水道用水、水力発電になります。
管理事務所
まずは、ダムカードを貰いに管理事務所へ。
ダムカードの左下に Ver 2.0 との記載がありました。 どうやら 2014年から水力発電が始まった事により、ダムカードの表記内容が改定されたようです。
常用洪水吐きのゲートはベルマウス型オリフィス1門。 ダムの中央にあります。
非常用洪水吐きは自然越流式で、ダムの水位が上がると堰堤を乗り越えて自然に流れ出る方式です。 ダムの上の方を見ると、少し空間が空いており、そこから水が流れ出る仕組だと思います。
堤高 87m、提頂長は 164m あります。
ダムの下の方を見ると、2つの建物が見えます。
右側の建物が利水放流バルブ室で、左側の水色屋根の建物が発電所です。
多分、ダム建築時からある利水放流バルブを分岐して、発電所を追加したのでしょう。
とは言え、最初から計画はされていたと思いますが...。
発電の最大出力は 340kW です。
ふかしろ湖
ダム建設によって作られた人工の湖です。
ダムの総貯水容量は 644㎥、有効貯水容量は 514㎥です。
正式な名称は「シオジの森ふかしろ湖」のようです。 この付近にはシオジの天然林があり、家具やスキー板の材料として使用されていました。
湖名に「シオジ」が入ったのは、流域住民などの要望からのようです。
今は洪水期なので、ダムの水位は少し低めです。
洪水期の 6 ~ 9月は貯水量を意図的に減らします。
洪水期と非洪水期では貯水量が 5.2倍も違います。
ダム上部の道路です。
一般車両が通行する事は無いので、作業用の車両がたまに通行する程度だと思います。
この道路は橋のような構造になっており、ダム湖の水位が上がると水が流れる仕組です。
ダムの上から下を眺めた所。
ダムの壁に常用洪水吐きの穴が見えます。
深城ダムは1門のゲートを上下させて、洪水期と非洪水期を切り替えて運用しています。
下を見ると、利水放流バルブ室と発電所の両方から水が流れ出ているのが見えます。
多分、発電中なのでしょう。
ダムの端の方は階段状になっています。
その階段状の部分は、そのまま減勢工へと繋がっています。
多分、非常用洪水吐きを流れ出た水が、直接岩肌に当たらないようにしているのだと思います。 階段状にしているのは落下する水の勢いを減らすのが目的でしょうか?
取水設備がある付近です。
右手前の建物が常用洪水吐きゲートです。 右奥にあるのは選択取水設備。
左側の建物はエレベーター室。 地下 60m までエレベーターで下りられるようです。
選択取水設備と艇庫です。
艇庫は流木などを取り除く為のメンテナンス用ボートを格納しておく建物です。
建物から湖に伸びている通路のような部分は、ボートを上げ下げする為のインクラインです。
選択取水設備
選択取水設備は、取水する水位を変更する事が可能な取水装置です。
水深の深いダム湖の場合、水深によって極端に水温が変わる場合があります。 選択取水設備は、環境への影響が少ない温度の水位から取水する事が出来ます。
現在、山梨県内 6ヶ所のダムカードを集めると、山梨 6ダム総合カードが貰えるので、残りのダムカードも集めましょう。
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