静岡県 起雲閣2024年04月28日

起雲閣は、1919年に建てられた別荘が基となります。 1947年からは旅館として使用され、多くの作家達に愛されました。 しかし、旅館は 2000年に破綻し、現在は熱海市所有の観光施設となります。
部屋の多くは見学可能で資料などが展示されてますが、一部の部屋は予約すれば貸出部屋として利用できるようです。

麒麟
写真左側の建物の1階が「麒麟」と呼ばれてる部屋で、2階は「大鵬」と呼ばれています。
写真右奥に見えるのあ「玉姫」です。
「麒麟」、「大鵬」、「孔雀」は起雲閣の中で一番初期の建物で、1919年に建てられました。
建てたのは海運王と呼ばれた内田信也です。 実母の静養所として利用していたようです。
起雲閣・麒麟

起雲閣・麒麟

起雲閣・麒麟

大鵬
麒麟の2階にあり、間取りは 10畳の御居間と、8畳の次の間になります。
太宰治が最後の愛人とされる山崎富栄を伴って大鵬に宿泊した事があったそうです。
その3か月後、2人は入水自殺します。 もっとも、富栄の無理心中との話しもありますが..。
それにしても、2人はどんな思いでここに来たのでしょうか..。
起雲閣・大鵬

起雲閣・大鵬からの眺め

玉姫、玉渓
1925年、東武鉄道社長だった根津 嘉一郎が土地と建物を取得して根津氏別邸となります。
そして、1932年に建てられた洋館がこの玉姫、玉渓です。 左が玉姫、右が玉渓です。
根津氏は、1944年までこの別邸を所有します。
起雲閣・玉姫、玉渓

この建物は、サンルーム、玉姫、玉渓の3部屋の間取りになります。
こちらがサンルーム。
アールデコ調の内装で、天井やがステンドグラスです。 屋根もガラスなので明るくて開放的です。  床もタイル張りで、先ほどの麒麟、大鵬から急に洋風になります。
起雲閣・玉姫

玉姫
案内には「桃山風の天井」との説明がありましたが、確かに、神社やお寺でたまに見かける特徴的な天井です。 家具は洋風ですが、少し和風を感じる部屋ですね...。
起雲閣・玉姫

玉渓
暖炉を囲むようにソファーが並べており、どこか山岳ロッジのような部屋です。
暖炉の上にはインド風の石仏像で、東洋と西洋が混ざったような空間です。
起雲閣・玉渓

起雲閣・玉渓

展示室
旅館時代は客室だったと思われる、展示室が3部屋続きます。
桜井 兵五郎は金沢で旅館を経営していたが、進駐軍に接収された為に経営ができず、熱海で旅館を開業します。 1947年、兵五郎が起雲閣を取得して旅館として開業し、「起雲閣」の名称はその時に付けられました。 多分、これらの建物は、旅館として開業する時に建てられた物でしょう...。 
なお、起雲閣には太宰治以外にも、多くの著名人が宿泊しています。
起雲閣・客室

起雲閣・初霜

起雲閣・初霜

金剛
金剛が建てられたのは根津氏が所有していた頃で、玉姫、玉渓よりも古い 1929年です。
少し改修されているようで、「石張りの廊下部分が玄関になっていた」との説明があったので、この辺りは後付けで、昔はここが玄関だったのかも知れません。
金剛は、1949年にその後の所有者である桜井氏によって改築されています。
起雲閣・金剛

金剛は暖炉がある洋室です。
説明を見た感じでは、床のタイルも当時の物とは変わっているのかも知れません。
ステンドグラスなども使われており、玉姫、玉渓に通じる物を感じます。
この部屋は旅館時代は何に使っていたのでしょうか...。 宿泊に使うには少し無理がありすですし...。
起雲閣・金剛

起雲閣・金剛

ローマ風浴室
こちらは、根津氏が金剛と同時期に建てたローマ風の浴室です。
但し、改築の際に天井や壁などが現在の材料に変更されているようです。 また、道路拡張工事の都合により、浴室の向きも 90度変わっているそうです。
ステンドグラスの窓、テラコッタ製のカラン(蛇口)などは当時の物だそうです。
起雲閣・ローマ風浴室

起雲閣・ローマ風浴室

起雲閣・ローマ風浴室

ちなみに、こちらは別の場所にある旅館時代の大浴場です。
旅館時代にローマ風浴室は使われていたのでしょうか?
起雲閣・旅館時代の大浴場

孔雀
孔雀は、初代所有者の内田氏が 1919年に建てた起雲閣初期の頃の建物です。
麒麟と同時期に建てたのに、ずいぶん離れているなと思ったのですが、建築当初は麒麟の隣にある喫茶室付近にあったようです。
1953年、客室と宴会場を増築する為に音楽サロンの付近に移築され、さらに、1981年に音楽サロンの建築により現在の場所に移築されました。
旅館時代はここも客室として使用され、1992年にはここで谷川浩司竜王と羽生善治王座による「第五期龍王戦」も行われました。
起雲閣・孔雀

起雲閣・孔雀

起雲閣・孔雀

土蔵
建物内の見学を終えたので外に出ます。
受付の側に古そうな土蔵があり、内部には展示物があります。
説明が無かったので、何時頃の蔵なのかは不明です。 誰が所有した頃の物でしょうか?
起雲閣・土蔵

起雲閣・土蔵

最後に庭園を見学して帰りましょう。
この立派な庭園を造園したのは、どうやら2代目の所有者だった根津氏のようです。 内田氏の頃の起雲閣はもっと小規模だたのかも知れませんね...。
なお、庭園も有料なのでご注意を...。
起雲閣・庭園

起雲閣・庭園

起雲閣・庭園