東京都 日野オートプラザ(日野自動車21世紀センター)2024年02月22日

日野オートプラザは、日野自動車が運営している施設です。
ミュージアムやカフェ、研修施設などがあり、ミュージアムは無料で見学する事が出来ます。
但し、ミュージアムが見学できるのは平日と第3、第5土曜なので、土曜日に訪問する場合は注意が必要です。
ネットで博物館を検索していた時に存在を知り、訪問したいと思ってましたがコロナ過により予約制になっていたのでいばらく様子を見てました。 開館日であれば自由に見学できるようになったので訪問する事にしました。

当日は雨だったのでバイクでの訪問を断念、八王子みなみ野駅からバスで訪問しました。
受付は2階にあります。
日野オートプラザ

ドライバー異常時対応システム
運転中のドライバーに発生した異常を検知するシステムのシミュレーターです。
座席に座って気を失ったように寄りかかるような姿勢を取ると、異常を検知して車を路肩に自動停止します。
また、乗客が異常に気が付いた場合も、非常停止ボタンで路肩停車する仕組のようです。
このまま自動運転が進化すると、ドライバーは不要になるのでしょうか..。 その内、自動車レースにも自動運転が導入されたりして...。
日野オートプラザ・ドライバー異常時対応システム

航研機
1910年、日野自動車の前身である東京瓦斯工業株式会社が設立されます。
1913年に社名が東京瓦斯電気工業株式会社に変わり、1927年から日本で初めて航空エンジンの設計製作を行います。 日野自動車の前身が航空機エンジンを製造していた事は知りませんでした。
展示されている航空機の模型は、東京大学航空研究所が設計を引き継いで瓦斯電が製造した航研機で、1938年に当時の絶対飛行世界記録(周回航続距離 11,651.011km)を樹立します。
日野オートプラザ・航研機

スロープギャラリー
旧車が展示されている、メインの展示場です。
スロープ周辺の展示物を見ながら下に降ります。
日野オートプラザ・スロープギャラリー

ボンネットバス BH15
ボンネットバス BH 型は 1950年から販売を開始します。
展示されているのは 1966年式で、日野ボンネットバスの最終生産車です。
乗車定員は 55人、総排気量 7,982 リットル。
それにしても、この形状のバスは、まったく見なくなりましたね...。
日野オートプラザ・ボンネットバスBH15

日野オートプラザ・ボンネットバスBH15

日野ルノー 4CV
日野自動車は乗用車を生産する為、1953年にフランスのルノー公団と技術提携します。
ルノー 4CV の組立生産から開始し、1957年からは完全国産化します。
日野は、ここで乗用車の製造技術を蓄積したのかも知れません。
この展示車両は 1953年式との事なので、多分、ルノーから部品を調達して組立ていた時代の車両でしょう。 日野とルノーが提携していた時代があった事は知りませんでした...。
日野オートプラザ・日野ルノー4CV

ハスラー
三輪トラックと言えばダイハツのミゼットが有名ですが、日野自動車も製造してました。
展示されているのは 1961年式のハスラーです。 主に、東南アジアでタクシーとして使用されていたようです。 ただ、日野自動車が製造してたのでは無く、三井精機工業株式会社が販売していたハンビーに、日野のマークを付けてハスターとして販売していたようです。
現在の三井精機工業は、工作機械やコンプレッサの製造販売が中心のようですが、昔はどこの会社も色々な事をやっていたみたいですね...。
エンジンは2サイクル単気筒で 285cc です。
日野オートプラザ・ハスラー

コンテッサ 900
日野自動車がこのような普通車を製造していた事を知りませんでした。
展示されているのは 1961年式の車両で、コンテッサ 900 は 1963年の第1回日本グランプリのツーリングクラスで外車勢を押さえて優勝します。
なお、コンテッサ 900 は、国内初のオートチョークを採用した車両でもあります。
総排気量 893cc、最高出力 35ps
日野オートプラザ・コンテッサ900

コンテッサ 900 スプリント
イタリアのジョバンニ・ミケロッティ氏がコンテッサ 900に注目し、スポーツ車の製造を日野自動車に申し出た事により、1962年に制作された試作車です。
日野自動車はエンジンと足回り部品を担当しています。
ここまで来ると、ロゴが無ければ日野自動車の車両と思う人は少ないと思います。
総排気量 893cc、最高出力 45ps
日野オートプラザ・コンテッサ900スプリント

コンテッサ 1300 クーペ
イタリアのミケロッティ氏がデザインしたクーペ。 展示されてるのは 1965年式です。
1967年まで生産されますがトヨタとの提携により、日野自動車は乗用車の自社開発から撤退します。 コンテッサ 1300 が日野自動車による最後の自社開発乗用車になります。
トラックしか製造してない印象ですが、トヨタ車の受託生産はしているようです。
日野オートプラザ・コンテッサ1300クーペ

GP20 型エンジン
日野オートプラザの特徴の一つに、エンジンの展示が充実している事が上げられます。
GP20 型エンジンは、コンテッサ 900 で使用されていたエンジンです。
直列4気筒のガソリンエンジン。 コンパクトな印象を受けます。
日野オートプラザ・GP20型エンジン

コンテッサ 1500 エンジン
コンテッサ 1500 として販売する為、1966年に試作されたエンジンです。
この時点で車両設計は未定だったので、FR でも FF でも搭載可能なようにエンジン長が短く作られています。 最高出力は 70ps でした。
トヨタとの提携により、残念ながらコンテッサ 1500 は製造されませんでした。
結構、貴重なエンジンに思えます。
日野オートプラザ・コンテッサ1500エンジン

EF 100 型エンジン
だいぶ日野自動車っぽくなってきました。
1971年式の V8 エンジンで、トラックやトラクターに搭載されていたエンジンです。
総排気量は 13.804リットルで、最高出力は 280ps です。
トラックのエンジンは大きいですね...。
日野オートプラザ・EF100型エンジン

P11C 型エンジン
こちらは 1992年式の直列6気筒エンジンです。 EF 100 型から約 20年後のエンジンです。
総排気量は 10.52リットルで、最高出力は 325ps。 排気量が小さくなってますが馬力がかなり上がってます。 部分断熱コンセプトを実用化した最初のエンジンで、斜流タービン式ターボチャージャーとの相乗効果で優れた燃費性能を発揮します。
この後、トラックのエンジンも電子制御化やハイブリッド化が進みます。
日野オートプラザ・P11C型エンジン

FlatFormer
次世代車両も展示されています。 FlatFormer は、車両上面がフラットな汎用 EV シャーシです。 この上に用途に合わせた車体を乗せて利用するようです。
上を乗せ換えれば、バスにもトラックにもなるというコンセプトのようです。
将来、このようなプラットフォームと自動運転が連動した運搬が実現するのかも知れません。
日野オートプラザ・FlatFormer

ちよだ EC 型エンジン
ここから先は戦前のエンジンになります。
このエンジンは東京瓦斯電気工業だった頃の 1937年に製造されたディーゼル・エンジンです。 東京学芸大学の古い倉庫に保管されていたのが発見され、ここに展示されています。
ディーゼルエンジンは大きく重くなる事から、このエンジンはアルミニウム製です。
排気量 9.3リッター、重量 729kg、出力 130馬力
日野オートプラザ・ちよだEC型エンジン

DB52 型エンジン
1942年製造の6気筒空冷式ディーゼル・エンジンです。
通常の空冷は空気を送り込んで冷却するが、車室内に熱がこもるので吸出し式を採用してます。 装甲兵車等に搭載されていたエンジンで、戦後は払下げられたエンジンをトレーラー・トラックに搭載していました。
排気量 10.85リッター、最大出力 125馬力。
日野オートプラザ・DB52型エンジン

ル・ローン 80馬力エンジン
ここからは航空機のエンジンになります。
1920年に製造された、空冷星型回転式航空エンジンです。 このエンジンは、プロペラの回転に合わせてエンジン本体が回転します。 エンジン自体が回転するのは少し不安を感じますが、信頼性は大丈夫だったのでしょうか?
日本陸軍がフランスのグノーム・ローン社かライセンスをか買い取り、東京瓦斯電気工業が生産しました。 東京瓦斯電気工業の航空機エンジンのベースとなったエンジンです。
総排気量 10.9リッター、出力 93馬力、重量 108kg
日野オートプラザ・ル・ローン80馬力エンジン

液令 V12 型エンジン
周回航続距離の世界記録を樹立した航研機の模型が展示されてましたが、1938年に製造された同型の V12 型川崎BMWハ-9Ⅱ乙型エンジンです。 航研機は、このエンジンを大改造して燃費を向上させた特別なエンジンです。
総排気量 42.4リットル、最高出力 870ps。 製造が川崎航空機と記載されてたので、川崎航空機が製造したエンジンを東京瓦斯工業が改造して世界記録を出した感じでしょうか?
日野オートプラザ・液令V12型エンジン

初風 ハ11 型エンジン
日本海軍はドイツのヒルトHM504エンジンのライセンス生産を東京瓦斯工業に発注します。
東京瓦斯工業は、量産に不向きな事を進言し、新たに設計したのがこのエンジンです。
レイアウトはオリジナルを踏襲してますが、随所の設計が変更されています。
1942年に製造され、総排気量 4.33リットル、再興出力 110 ~ 125ps です。
このエンジンは海軍2式初歩練習機「紅葉」、陸軍4式基本練習機に搭載されました。
展示されているのはレプリカです。
日野オートプラザ・初風ハ11型エンジン

TGE-A 型トラック
一通りの見学を終え、エントランスまで戻ってきました。
エントランスに展示されている TGE-A 型トラックのレプリカは、東京瓦斯工業が 1917年に設計・製造した車両です。 また、東京瓦斯工業が初めて独自設計して製造した国産トラックになります。 日野自動車のトラックは、ここから始まりました。
日野オートプラザ・TGE-A型トラック

日野レンジャー
屋外にも展示車があるので、そちらも見学します。
これは、1996年にダカールラリーに参加した時の車両です。
日野自動車は 1991年からダカールラリーに参加しており、1996年に排気量 10リットル未満クラスで優勝した時の車両です。
日野オートプラザ・ダカールラリー仕様車

TE120 改型 消防車
1970年にフルモデルチェンジしたボンネットトラック TE120 を日本機械工業株式会社がハシゴ車に改良した車両です。 
また、奥に少し見えるトラックは、もう少し古い 1959年式の TE11 型トラックです。
日野オートプラザ・TE120改型消防車

日野自動車と言えば、トラックのイメージしかなかったので、飛行機や乗用車の製造にも関わていた事を知れて良かったです。
あまり知られてませんが、珍しい展示物も多く、良い博物館だと思います。