福井県 、滋賀県 玄蕃尾城2021年11月21日

玄蕃尾城は、1582年に柴田勝家によって築城されました。 翌年の賤ヶ岳の戦いではここに本陣を置き羽柴秀吉と対峙しました。 戦いは、大垣城から想定外の速さで戻ってきた秀吉の反撃に合い、勝家は敗走します。 その後、玄蕃尾城が使用される事は無かった為、当時の陣城の姿が良く残っています。 場所的には福井県と滋賀県の県境のようです。
玄蕃尾城の名は柴田勝家の家臣、佐久間玄蕃盛政に因むものとして伝わります。

柳ヶ瀬トンネル
玄蕃尾城駐車場への林道は Google Map には記載されてません。
行き方が非常に分かりにくかったです。 当日は琵琶湖側からの訪問だったので、国道 364号から県道 140号に入ります。 県道に入るとすぐに柳ヶ瀬トンネルが見えます。
ここは、旧北陸本線のトンネルだった場所で、現在でも車道として使用されています。 一車線を信号で交互に通行する場所なので、内部の様子はドラレコの動画から一コマを拝借。
なかなか良い場所です。 気に入りました。
柳ヶ瀬トンネル

柳ヶ瀬トンネル

柳ヶ瀬トンネルを出てすぐ右側に林道への入り口があります。 林道の状態は思ったよりも良好でしたが、道幅が狭く、落石や枝が散乱してました。
自分のバイクで来れる場所なのか不安でしたが、なんとか玄蕃尾城の駐車場に到着。
続100名城のスタンプを押します。 駐車場のスタンプは11月末まで設置されています。
ここから主郭まで徒歩20分です。
玄蕃尾城・駐車場

ここにも「熊注意」があったので、熊除けの鈴をスタンバイして散策を開始します。
少し登ると堀切のような場所が見えてきました。
自然に出来た地形には見えないですが、城の一部なのかは不明です。
近くに小さな社があったので旅の安全を祈願して先に進みます。
玄蕃尾城

左側の斜面を登って行くと玄蕃尾城。 ここからしばらく急な坂を登る事になります。
真っすぐ行くと行市山砦跡です。
ちょっと興味が湧いたのですが、「3.5 km」の案内を見て行くのを止めました。 さすがに往復 7 km 歩く暇はありません...。 
玄蕃尾城・入り口

坂を登りきると平な場所に出ます。 「細長い曲輪かな?」と思ったのですが、この後に出現する案内を見て「あ、まだ手前なんだ..」と知りました。
ここも、紅葉が綺麗ですね...。 紅葉を楽しむ為に来る人もいそうです。
玄蕃尾城

大手虎口(南虎口)
「郭1」への入り口となる、大手虎口の複雑な構造が見えてきました。
多分、当時はもっと深い堀で、土塁との落差がもっとあったのだと思います。
戦の為に1回だけ使われた陣城だと思うのですが、かなり本格的な作りです。
玄蕃尾城・大手虎口

郭1(大手郭)
玄蕃尾城の南側を守る郭です。 入り口は先ほどの虎口で、少し低くなってますが周辺の土塁も良く残っています。 サクサクと落ち葉の上を歩くのが心地良いです。 人がほとんどいないので、静かなのも良いです。
玄蕃尾城・郭1

玄蕃尾城・郭1の土塁

郭1の西側を南北に走る空堀。
だいぶ埋まっていると思いますが、位置関係が良く分かります。
この堀を北に進むと行き止まりになっており、上から攻撃する構造になっています。
玄蕃尾城・郭1の堀

郭1(大手郭)と虎口郭の間にある大きな堀。
多分、今歩いてる場所が土橋だった場所です。 右奥が虎口郭なので、そちらから土橋を歩いてくる侵入者を一斉攻撃する構造なのだと思います。
玄蕃尾城・虎口郭の堀

虎口郭
土橋を渡った先に東虎口があり、そこから虎口郭に入ります。 広さは郭1とだいだい同じくらいです。 周辺の土塁も良く残っています。
玄蕃尾城・東虎口

玄蕃尾城・虎口郭

南馬出し
虎口郭の北側は馬出しと繋がっていますが、郭の中間辺りに馬出しの手前を通る通路があります。
この辺りの複雑な地形も良く残っています。
中央部分で奥に伸びているのは馬出しの土塁だと思います。
玄蕃尾城・南馬出し周辺

玄蕃尾城・南馬出し

腰郭
馬出しの東側には腰郭があります。
一段下がった場所にあり、北国街道側への出入り口なのかも知れませんが、再び登って来るのが大変そうなので、ここから眺めるだけにしておきました。
玄蕃尾城・腰郭

主郭
45m 四方ある、かなり広い郭です。
南北の主郭の出入り口は馬出しで隠されており、外から奥の様子が見えないようになっています。
周辺の土塁も保尊状態が良さそうです。
勝家も、ここで戦の行方を家臣たちと話し合ったのかも知れませんね...。
玄蕃尾城・主郭

主郭東側に土塁が途切れている場所があり、その先は張出郭があります。
玄蕃尾城・主郭・東虎口

陣城なので、立派な建物は無かったと思いますが、主郭の北東には櫓台がありました。
物見櫓のような物だと思いますが、礎石も見つかっている事からしっかりとした造りだったと思います。 ここから北国街道側を監視していたのかも知れません。
櫓のあった場所は少し盛土がしてあって、他よりも高くなっています。
玄蕃尾城・主郭・櫓台

主郭の北側虎口から外に出ます。
主郭北側の土塁を外から見ると、周辺の土塁がけっこうな高さである事がわかります。 築城当時はもっと高かったのかも知れません。
戦の後、忘れ去られたような城なので、当時の姿が良く残っています。
玄蕃尾城・主郭・北虎口

玄蕃尾城・主郭・北の土塁

主郭北側の土橋と馬出し
土橋の左側は人工的に作られた堀で、右側は崖になっています。 うまく自然の地形も生かした土橋になっています。 土橋の奥は北側の馬出しだった場所です。
土橋を渡った先を左側の堀沿いに進むとその先が搦手郭(郭2)です。
玄蕃尾城・主郭北側の土橋

玄蕃尾城・北馬出し

北側の馬出しを出た先は土橋になっており、ここも良く残っています。
この土橋の先が最後の郭、搦手郭(郭2)です。
ここも、左側は自然の崖で、右側は人口的な堀です。
玄蕃尾城・搦手郭の土橋

郭2(搦手郭)
玄蕃尾城の一番北側にある郭で、この城の中では最大の郭です。
周辺の土塁も良く残っています。
賤ヶ岳の戦いで勝家が本陣を置いただけあり、立派な作りです。
玄蕃尾城・搦手郭

玄蕃尾城・搦手郭・土塁

この、土塁が途切れている場所が一番北側の搦め手口。
外部からこの郭に出入るする唯一の虎口です。 門とかがあったのでしょう...。
一番奥まで来てみましたが、戦の後、手付かずだったので、保存状態が良さそうです。
玄蕃尾城・搦手郭・搦手口

紅葉が綺麗です。
夏だと雑草も多そうだし、山城の散策は秋の方が良さそうです。
縄張りの様子も良く分かります。
玄蕃尾城・紅葉