千葉県 航空科学博物館2023年06月04日

航空科学博物館は、成田空港のすぐ隣、千葉県山武郡芝山町岩山にある航空機に関する博物館です。 成田空港を開港するにあたり、地元住民から博物館建設の要望が提出されました。 多分、空港建設により離農する事になった住民の雇用を創出する目的もあったと思います。 1977年に要望が提出され、1988年に着工、翌年に開館しています。

駐車場の広さは十分だと思います。
すぐ隣が成田空港なので、頻繁に航空機が低空を飛行します。
普段、低空を飛ぶ航空機を見る事が無いので、見慣れない低空を飛ぶ航空機は迫力があります。 ついつい見上げてしまいます。
航空科学博物館・駐車場

航空科学博物館・上空の飛行機

航空科学博物館
特徴的な丸みを帯びたデザインのせいか、最近リニューアルしたおかげか、建物が新しく感じます。
体験型シミュレーターが人気ですが、そういうのは苦手なので展示物を中心に見学します。
また、屋外展示物も充実していますが、先に館内を見学する事にします。
航空科学博物館

ジェットエンジンと主翼断面
展示されているのは JT9D エンジン。 日本航空が運用していた最後のクラッシック・ジャンボ 747 から取り外した物です。 比較的古い機体で使用されていたエンジンです。
アメリカのP&W社が 1968年頃から開発していたターボファンエンジンで、747 はこの型のエンジンを4機搭載していました。 大きさと複雑さに圧倒されます。 実物を見て欲しいです。
推力: 22.8t
回転数: 毎分 8,000回
重量: 4.2t
航空科学博物館・ジェットエンジンと主翼断面

航空科学博物館・ジェットエンジン

機体の断面
こういう展示は初めて見ました。
とにかく巨大で、実際の展示物を見て欲しいです。
機体下部が貨物室になっていて、ジャンボジェットで約 25t の貨物積載が可能との事。
機体の骨組みはしっかりしてますが、壁は心配になる位に薄いです。
旅客機の場合、与圧して機体が膨らんでる感じなので、壁の厚さはこの程度で十分なのでしょう。
航空科学博物館・機体の断面

西棟の全景
中央に 1/8 サイズの 747-400 の模型があります。
この模型は、受付で「コックピット体験」を申し込めば、写真右下の機種部分から操縦する事が出来ます。 ただ、体験できるのは1日5回程度で、1度に操縦できるのは当然、操縦士と副操縦士の2名です。 整理券は先着順のようなので早めに行かないと難しそうです...。
模型の操縦とはいえ、コックピットはかなり本格的です。
航空科学博物館・西棟

航空科学博物館・コックピット

イスパノV型エンジン
1927年から生産されたフランスのイスパノ・スイザ社製のV型エンジンです。
日本では 1930年から三菱重工によって製造され、一三式艦上攻撃機に使用されました。
一三式艦上攻撃機は複葉機の艦上攻撃機で、1923年実質的な日本初の艦上攻撃機です。
一三式艦上攻撃機にイスパノ・スイザ社製のエンジンが採用されたのは二号一型からなので、途中からこのエンジンに変更されたようです。
一三式艦上攻撃機は 1938年に退役しました。
航空科学博物館・イスパノV型エンジン

屋外展示も充実しています。
紹介しきれないくらい実物が展示されています。

YS-11
日本航空機製造が製造した、戦後初の日本製の旅客機が YS-11 です。
ここに展示されているのは試作1号機で、1962 ~ 1982年まで実際に飛行していました。
2,700馬力のターボプロップエンジン2機を搭載し、時速 450km で飛行しました。
66人乗りで、10t の輸送能力があります。
日本航空機製造は 1982年に解散し、事業は全て三菱に引き継ぎました。 日本の航空機産業が発展する事を期待しましょう...。 
航空科学博物館・YS-11

航空科学博物館・YS-11

MU-2
三菱重工が製造した国産ビジネス飛行機です。
1963年から 762機が生産されました。 オイルショックが無ければ、もっと販売台数が増えたかも知れない機体で、自衛隊も使用していました。
三菱重工の社有機として試験飛行に使用され、B型から F型に改造されました。
650馬力のターボプロップエンジン2台で、時速 500km で飛行します。
結構、速いですね。
航空科学博物館・MU-2

航空科学博物館・MU-2

FA-300
富士重工製の国産ビジネス飛行機ですが、YS-11 や MU-2 と比べると知名度が低く、私も存在を知りませんでした。
 1975年から製造を開始しますが、オイルショックの影響により販売がふるわず、46機で製造が終了しています。 どうやら、国産航空機はオイルショックを乗り切れ無かったような感じのようです。 340馬力のガソリンエンジン2台で、時速 400km で飛行します。
航空科学博物館・FA-300

航空科学博物館・FA-300

カモフ Ka-26
このヘリコプターの特徴は、二重半回転ローターで、テールローターが存在しません。
カモフの名は現在のロシアの軍用ヘリとして、聞いた事がある人も多いかも知れません。
1965年から生産された旧ソ連製のヘリコプターで、日本には3機輸入されました。 旧ソ連からヘリコプターが買えた事自体が驚きです。
当機は 1983 ~ 1988年に運用されてましいた。 客室がそれほど広くは見えませんが9人乗りだそうです。 250馬力のエンジン2台、時速 150km 。
航空科学博物館・ka-26

航空科学博物館・ka-26

セスナ 195
年代が異なるセスナ社の小型機が、数機展示されていました。
この機体は 1947年から生産された5人乗りの小型機で、朝日新聞社の取材機として使用されていました。 個人的には「セスナ」と聞くとこの形状が思い浮かびます。
300馬力のガソリンエンジンで、時速 260km で飛行しました。
航空科学博物館・セスナ195

セスナ 411
こちらは 1962年から生産された8人乗りのセスナです。
中日新聞社が取材用に使用していた機体です。
先ほどの 195 から 15年ほど後の機体ですが、かなり現代的なフォルムに洗練されています。
50年以上前の機体ですが、そこまでの古さを感じません。
340馬力のガソリンエンジン2台で、時速 350km で飛行可能でした。
航空科学博物館・セスナ 411

リアジェット 25B
1952年にスイスで開発が始まり、アメリカのリアジェット社が 1963年から 2000 機近く生産された小型機ジェット機です。 この機体は 1975 ~ 2008年まで運用され、展示の為にアメリカから成田空港に飛行したのが最終フライトになります。
推力 1.3t のジェットエンジン2機台で、時速 850km で飛行可能です。
年代的に先ほどのセスナ 411 に近い機体ですが、エンジンがレシプロからジェットエンジンに変わった事により、パワーや速度が劇的に変わっています。
航空科学博物館・リアジェット 25B

空港用化学消防車
航空機火災用の特殊な消防車です。 実際に昨年まで使用されていました。
強力な放射能力を持つタレットノズルと、車体下部を消火する為のアンダートラックノズルを備えています。 説明にメーカーの記載はありませんが、車体の形状から多分モリタ製の消防車でしょう。 モリタ社は、国内消防車のトップシェアを誇る会社です。
水槽 2500リットル、薬液槽 500リットル。 車両重量 22t 。 大きな車両です。
航空科学博物館・空港用化学消防車

航空科学博物館・空港用化学消防車

空と大地の歴史館
航空科学博物館のすぐ隣にある「空と大地の歴史館」にも行ってみました。
こちらは、科学博物館のような夢のある世界ではありませんが、個人的には興味深い内容でした。 こちはら空港建設に反対する住民や活動家と国との抗争の歴史が展示されており、ある意味、成田空港の陰の部分の歴史が展示されています。
空と大地の歴史館

空と大地の歴史館・ヘルメット

空と大地の歴史館・のぼり旗

DC-8 のフライトシミュレーターも面白そうですが、個人的には 747 セクション 41 機内ガイドツアーに参加してみたいです。
1日7回ほど、定員6名で行われるようです。 もう少し人数が多いと助かるのですが...。
全てが見学出来た訳では無いので、また行ってみたい博物館です。