神奈川県 日本郵船氷川丸(2) ― 2019年09月07日
前回の続きです。
操舵室
艦橋の一番上にある操舵室です。
現代の船舶と比較するとレトロな感じがする操舵室ですが、当時としては最新の設備でした。
航海士は24時間体制でここから船のコントロールを行います。
中村式操舵機制御装置と言うらしいです。
舵輪は船尾の操舵機と細いパイプで繋がっており、水圧の変化で操舵機の油圧システムを操作していたようです。 パイプ内の水には凍結防止剤としてグリセリンが混ぜられていたようです。
結構、大きなハンドルですが、この舵って重いんですかね...。
船長室
操舵室の真下にある船長室です。
緊急時に即時対応する為にこの場所にあるのだと思います。
広い部屋ではありますが、内装はシンプルな感じがします。
デッキ中央部には巨大な煙突が見えます。
「レストラン ハーバービュー」の看板が見えますが、ドアの様子をみると営業している感じはしませんでした。 昔はレストランが営業していたようなので、氷川丸のリニューアル後に営業を止めたのかも知れません。
船尾の方に移動します。
オープンデッキは土日・祝日のみ解放されています。
これだけ天気が良いと気持ちいいです。 当時の船客もここで日光浴でもしたのでしょうか?
さらに船尾の方に移動すると、船尾にも舵輪がありました。
雨ざらしですが、ここから船を操舵する事があったのでしょうか? 接岸用?
何だろう。 再び船内に戻り、機関室を見学したいと思います。
機関室上段
氷川丸には当時最新鋭だったデンマークB&W社製の8気筒ディーラーエンジン2基が搭載されていました。 氷川丸には当時のエンジンがそのまま保存されています。
とにかく巨大なエンジンで8気筒エンジンのバルブが一列に並ぶ光景は壮観でした。
当時は轟音を立てながらバルブが上限に稼働していたのだと思います。
機関室中段
どことなくアメリカの刑務所みたいな光景です。 通路の両側にあるのは監房ではなく巨大なエンジンですが...。 両側に並ぶのはカムとカムローラーで、上の方に延びる鉄のバーがバルブに繋がっているのだと思います。 B&Wのエンブレムもはっきりと残っています。
恐らく、カムの稼働に合わせてバルブに繋がるバーが上下に稼働して吸気・排気していたのだと思います。
機関室下段
ディーゼルエンジンの最下部になります。 良く分からないメータがあちらこちらにありました。
氷川丸のディーゼルエンジンは、ダブルアクティング・ディーゼルエンジンと呼ばれる物で、シリンダーの下にもバルブがあり、上下の燃焼室で発火するタイプでした。
ディーゼル発電機
氷川丸には3基のディーゼル発電機が搭載されていました。
発電機はB&W社ライセンスによる池貝織鋼製でした。
どうやら国内で製造された物だったようで、貴重な物なのかも知れません。
三等客室
今まで見てきた客室のような豪華さはありません。
今のフェリーもこんな物なので、1日程度であれば特に狭いとは思いません。 ただ、自由に船内を移動する事が出来なかったようなので、ここに数週間いるのは窮屈だったと思います。
食事はどこで取っていたのでしょうか...。
船内の見学を終えて外に出ます。
こうして見ると船体に大量のリベットが使われている事がわかります。 現在の船舶は溶接構造なのでリベット構造の船は珍しいようで、日本で 10,000 トン以上の現存船舶は氷川丸だけのようです。
当時の日本の鉄鋼業は品質水準が低く、氷川丸に使われた鋼材のほとんどはイギリスから輸入した物らしいです。
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