神奈川県 JAXA相模原キャンパス、市立博物館2017年02月11日

政府の地方創生事業により、移転騒ぎのあったJAXA相模原キャンパスを見学してきました。 当の「移転」に関しては、地元の反対も多く撤回され、存続が決定しているようです。
JAXA相模原キャンパスは 1989 年に開設された研究施設で、かの「はやぶさ」の運用にも関わった場所です。 展示施設などは見学する事ができます。

研究・管理棟
入口の門で受付を済ませた後、展示施設がある研究・管理棟へ向かいます。
当日は売店、食堂は営業してなかったので、見学可能な場所はここと、原寸大ロケットが展示されている場所のみでした。 食堂、売店は土日は営業していないみたいです。 残念。
JAXA相模原・研究・管理棟

はやぶさ
説明は不要かと思いますが、小惑星イトカワと地球の間を悪戦苦闘の旅を続けた探査機です。 見た人は思ったよりも大きい印象を受けると思います。
2003 年に打ち上げられ、2005 年にイトカワに到着。 トラブルにより帰還は 2010 年と大幅に遅れましたが何とかサンプルリターンに成功しました。
JAXA相模原・はやぶさ

この部分がサンプルを採取する為のノズルです。
三つ並んでいる丸い部分がターゲットマーカーで、投下したマーカーめがけてタッチダウンする予定でした。 本来は弾丸を発射し、舞い上がった粉塵を採取する予定でしたが、降下中のトラブルにより弾丸を発射する事ができず、想定外の採取作業になりましたが、わずかながらサンプルを採取する事ができました。
JAXA相模原・はやぶさ

これがはやぶさの推進力を生みだすイオンエンジン。
推進力は小さいのですが、とにかく燃費が良く、長時間加速し続ける事ができます。 Aの部分は打ち上げ直後に運用を停止、残りの3台も帰還中に故障したが、AとBの使える部分を組み合わせて推進力を得たらしい...。 すごく柔軟に設計されてますね...。 関心します。
JAXA相模原・はやぶさ

あれだけ大きかったはやぶさが地球に帰って来た時はこのサイズになってました。 サンプルを採取するノズルの上部に丸い形状の部分があったので、恐らくその辺りがこれなんだと思います。 この中に僅かですがイトカワの微粒子が付着していた事になります。
JAXA相模原・はやぶさ

れいめい
2005 年に打ち上げられた小型高機能科学衛星で、衛星技術の実証や科学観測などを行っており、観測データはオーロラの瞬きの仕組みを解明するのに役立ったとの事。 打ち上げからかなり経ちますが、現在も運用中です。
JAXA相模原・れいめい

気球
JAXA が関わるのはロケットや人工衛星だけではありません。
写真は無人観測用気球の模型です。 気球とは言え高度50km を超えると空気は地上の 1000 分の 1 になります。 そのため浮力を得る為に気球自体の素材も極限まで薄く造り、軽量化する必要があります。
JAXA相模原・気球

スーパーにある普通のビニール袋のように見えますが、厚さは 0.003mm しかありません。 スーパーの袋は 0.01mm 程度なので、触ってみると、とにかく薄いです。 0.0028mm まで薄くできるそうです。
逆に、これだけ薄くて強度的に問題無いのか心配になります。
JAXA相模原・気球

ペンシルロケット
1955 年、この全長 23cm の小さなロケットを水平に発射する事から日本のロケット開発が始まりました。 日本のロケットの祖先と言える物です。
開発を主導したのは糸川氏で、そう、あのはやぶさの目的地、小惑星イトカワはこの方にちなんで名づけられました。
1955 年、日本はIGY(国際地球観測年)へ参加し、国産ロケットで 1958 年までに高度 100km まで観測ロケットを打ち上げる事になり、無事成功しました。
予算も時間も限られた中で大変苦労したと思います。
JAXA相模原・ペンシルロケット

M-3SII 型ロケット
ペンシルロケットから始まった日本のロケットはどんどん巨大化します。
1985 年に打ち上げに成功した M-3SII 型ロケットです。
M-3S の能力不足を補う為に開発された3段ロケットで、1段目はM-3S の流用ですが他は新設計です。 打ち上げ能力は770kg で、M-3S の 300kg から大幅アップです。
JAXA相模原・M-3SII 型ロケット

この部分が2段目と1段目のつなぎ目。 
打ち上げ時は結構な衝撃だと思いますが、意外ときゃしゃな造りです。
JAXA相模原・M-3SII 型ロケット

エンジン部分。 二個の補助ロケットが付いており、大きな尾翼が特徴的です。 大きな尾翼はノズルによる姿勢制御がまだ難しかったのか、予算的にこっちの方が楽だったのかは不明ですが、なんだかミサイルみたいです。
JAXA相模原・M-3SII 型ロケット

M-V型ロケット
1997 ~ 2006 年に運用されていたロケットです。
H-IIA ロケットと比較して打ち上げ費用が高額だった事から廃止され、このあとしばらく固体燃料ロケットの運用が途絶えますが、低コストで打ち上げられるイプシロンへと繋がります。
JAXA相模原・M-V型ロケット

はやぶさを打ち上げたのもこのロケットです。 尾翼がほとんど存在しません。 3段式ロケットで、1.85t の打ち上げ能力がありました。 ただ、10t を打ち上げられる H-IIA と比較し、同じくらいのコストがかかるとなると廃止されても仕方がなかったのかも知れません。
JAXA相模原・M-V型ロケット

相模原市立博物館
JAXA の向い側にある、市立博物館に向かいます。
プラネタリウムは有料ですが、無料で展示資料を見る事ができます。
JAXA の近くと言う事もあり、宇宙に関する展示物が充実しているように思えます。 市立博物館としてはかなり充実していると思います。
相模原市立博物館

「火星探査機」のぞみ
1998 年に M-V ロケットによって打ち上げられました。
予定通り月、地球によるスイングバイで火星に向かいましたがエンジントラブルにより予定の速度が得られず、再度スイングバイを行いましたが通信機器トラブルにより火星の観測は行えませんでした。
ただ、通信トラブルへの対処方法などのノウハウは、はやぶさにも役立ったようです。 ちょっと残念な探査機でした。
相模原市立博物館・のぞみ

展示されていた小惑星イトカワの模型。
中央部やや右側に、タッチダウンした「はやぶさ」がいるのですが解ります?
相模原市立博物館・イトカワ

無料で楽しめる JAXA+市立博物館の見学コースは、なかなか見所が多かったです。