奈良県 興福寺 ― 2023年11月23日
興福寺の前身は山階寺で、669年に藤原鎌足の正妻である鏡女王が鎌足の病気平癒の祈願の為に造営した寺院でした。 710年に平城遷都した際、興福寺に改名されます。
奈良、平安時代に勢力を拡大し、平安時代には春日社を取り込みます。
戦国時代に入るとやや衰退しますが一定の勢力を保ちます。 しかし、江戸時代に発生した火災では再建に苦慮していたようです。
明治時代の神仏分離令の影響は大きく、その後の廃仏毀釈で大きなダメージを受けます。
1897年に国の文化財保護政策が変わり、その後、興福寺は徐々に復興して行きます。
大湯屋
寺院の風呂場として使用されていた建物です。
平安時代頃の文献に記載がありますが、現在の建物は室町時代の 1426年頃に再建された物と考えられています。 当時の風呂は蒸し風呂で、湯舟はありませんでした。
内部は一般公開されていません。
本坊
寺の寺務を行う場所です。
一般公開されていませんが、年1回行われる涅槃会の時は中に参拝できるようです。
門は天正年間(1573 ~ 1592年)に建立された物で、1907年に菩提院から移築されました。
興福寺は奈良公園の中に寺の建物が点在しれいるような感じで、寺というより公園を散策している感じですね...。
東金堂
726年に聖武天皇が叔母の病気平癒を祈願して東金堂を建立しました。
その後、5回も火災の被害に合ってるようで、現在の建物は 1415年に再建された物です。
本尊は薬師如来坐像です。
普段は拝観可能でが、五重塔の修復工事の為に拝観出来ませんでした。
ただ、かなり前に一度拝観した事があります。 (ほとんど覚えてませんが..)
中金堂
714年に藤原不比等が初代中金堂を建立しますが、その後6回も焼失します。
1717年の火災後は財政難から再建できず、1819年にようやく仮堂が建てられます。
2000年に老朽化した仮堂は解体されます。
2010年から中金堂の再建を開始し、2018年に再建工事が完了しました。
近年に、これだけ大きな木造建築物を再建する為の資材調達は大変だったと思います。
中金堂の敷地から夕日に染まる、東金堂と五重塔が良く見えます。
近くだと工事用のフェンスが邪魔だったのですが、少し距離を取った方が良さそうです。
拝観時間ギリギリでしたが間に合って良かったです。
五重塔
初代五重塔は 730年に光明皇后の発願によって建立されました。
五重塔も、5回も焼失しており、現在の建物は 1426年に再建された物です。 それでも十分に古い建物ですが...。
これから大規模な修繕工事が本格化するので、これからしばらくの間、五重塔は見れなくなるかも知れませんね...。 工事の完了予定は 2031年です。
中金堂の奥に見えるのが仮講堂です。
中金堂には仮堂がありましたが老朽化していた為、1975年に薬師寺の旧金堂を仮金堂として移築しました。 2000年に仮堂は解体され、2018年に中金堂が再建された為、仮金堂は役目を終えました。
仮金堂が移築された場所は、元々、講堂があった場所なので、現在は仮講堂としているようです。 数年後は、ここに当時の姿で講堂が再建されるかも知れないですね..。
日が暮れてきたので、そろそろ中金堂を出ましょう..。
不動堂
不動明王が祀られており、護摩焚きが行われる場所です。
不動堂は何故か情報が少なく、いつ頃の建物なのか分からなかったです。
南円堂
813年に藤原冬嗣が、父の内麻呂の冥福を願って建立しました。
こちらも何度も再建されているようで、現在の建物は 1789年に再建された物です。
しかし、1741年に立柱してから再建に 40年以上かかっている事を考えると、当時の興福寺は財政的にかなり厳しかったのかも知れませんね...。
本像は不空羂索観音菩薩坐像です。
三重塔
興福寺に現存する最古の建物です。
1143年に建立され、1180年の以仁王の挙兵で焼失、1210年に北円堂と供に再建されました。
現存する興福寺の建物の中では、最古の部類に入ると思います。
三重塔から北円堂の途中で見かけた紅葉。
塀の先は教会みたいですね...。
北円堂
721年に元明、元正天皇が長屋王に命じて建立した御堂です。
1180年の以仁王の挙兵の時に平重衡の侵攻により北円堂は消失、1210年に三重塔と共に再建されました。 現存する興福寺の建物の中では、最古の部類に入ると思います。
本尊は弥勒如来坐像で、内部は一般公開されていません。
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