島根県 津和野城(1) ― 2022年05月01日
津和野城は、1295年、鎌倉幕府が西石見地方の地頭として赴任した能登の豪族吉見頼行が築城した山城です。 その後、津和野城は戦国時代まで吉見氏によって増改築が繰り返されます。
毛利氏の配下に入っていた吉見氏は、毛利氏が関ヶ原の戦いで敗れると津和野城を退去する事になります。 1601年、関ヶ原の戦いの功績で津和野城に入った坂崎直盛(成正)によって中世の山城から石垣を設けた近世の山城へと変貌します。
1616年、千姫事件によって坂崎氏が改易になると亀井氏が入城し、明治維新まで続きます。
津和野城は山城ですが、津和野城跡観光リフトで簡単に登る事ができます。
バイクを津和野城跡観光リフトの駐車場に停めて津和野城に向かう事にします。
駐車場は、それなりの広さですが空きはほとんど無く、思ったよりも人気のある場所のようです。
100名城のスタンプはリフトの乗り場に置かれているのでスタンプを押してリフトに乗ります。
ちょっと懐かしさを感じる、年代物のリフトでした。
三本松出丸(織部出丸)
リフトを降りてから数分で現れるのが三本松出丸です。 築城時の津和野城は三本松城と呼ばれてました。 また、浮田織部(坂崎直盛の弟)が築いた事から織部出丸とも呼ばれています。
下からみると、石垣がより一層高く見えます。 門の右側には隅櫓があったようで、かなり立派な出丸だったようです。
出丸入り口手前の段床。
切岸(斜面を削って急な崖にする防御施設)を作った時に出来た平場を段床(だんどこ)と呼んでるそうです。 ウッドデッキの床を階段状に広げた段床(だんしょう)に似ているから、そう呼ばれているのだと思います。
出丸の門跡付近
古い絵図だと、薬医門のような感じでした。
それほど大きな門では無さそうです。
石垣の状態も良さそうです。 手前の石垣の上には平隅櫓がありました。
でも、出丸入り口付近の絵図では門の両側に櫓が描かれていたので、それとはちょっと違う感じがします。 あの絵はなんだったのだろう...。
出丸入り口付近の平櫓跡
先ほどの石垣を曲輪内から見た所です。
絵図を見ると、黒い平櫓で下屋がついてました。 番所として使用されてたようです。
周辺からは瓦片が発掘されているようです。
不思議なのは、平櫓のはずなのですが、絵図には二重櫓で書かれている事です。 二重櫓だった時代があったのでしょうか?
出丸入り口付近の土塀跡
門の反対外の様子です。 こちら側は土塀だったようです。 やはり、門の両側には櫓は無かったのでしょう。 4本の黒い木の部分が、土塀を内側から支えていた控柱の跡が見つかった場所です。
三本松城(津和野城)は、1554年に大内義長と陶晴賢に攻められ、籠城戦が行われています。
ただ、出丸を築いたのは浮田織部ですが、その頃から出丸はあったのでしょうか?
出丸の二重隅櫓跡
出丸北東側(門の反対側)には二重櫓がありました。
曲輪の形に合わせて少し湾曲していたようです。 城下町からも見える、津和野城の象徴的な建物だったようです。 確かに、ここから津和野城の城下町だった場所が良く見えます。
見所の多い出丸です。
戦乱の世では、本丸の側面を守る砦として重要な場所だったのかも知れません。
でも、泰平の世になると、ここに番所を置いても本丸への登城路からは離れてるので、あまり使い勝手は良く無かったかも知れません。
出丸から本丸側を眺めます。
下の登城路からは結構な落差があります。
では、この先にある本丸に向かいましょう。
本丸に向かって尾根を歩くと、途中が仮設通路になってました。
別に崩れてる訳でも無く、普通に通れそうですが整備工事でしょうか?
なんと、本丸周辺も仮設階段が...。
仮設階段を登ると、本丸周辺の石垣が見えてきました。
白いシートが見えるので、一部、修繕工事でもしてるのかも知れません。
仮設階段をさらに登ると、台所がある曲輪の石垣が見えてきました。
櫓でもありそうな感じの石垣です。
ここは、仮設階段が無い時には普通に見学できる場所なのでしょうか?
津和野城・台所周辺の石垣
石垣は野面積みです。 角が取れた、少し丸みがある石が使われています。
山城の石垣を見ると毎回思いますが、当時の人はこの石材をどうやって運んだのでしょうか...。
全部が山の上で調達できるとは思えない量の石材です。
いよいよ、津和野城の核心部分に入ります。
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