山口県 大内氏館跡 ― 2022年04月30日
14世紀末、周防、長門の守護だった大内氏が守護所となる館を築きました。 現在、その館跡は龍福寺の境内となっています。 大内氏は海外との交易による利益により、この地域の支配を盤石なものにします。 しかし、大内義隆の時代になると政治よりも文人との交流を優先するようになり、家臣の不信感が高まります。 そんな中、1551年、ついに陶隆房によるクーデターが発生し、追い詰められた義隆は自刃します。 隆房は、義隆の猶子、義長を当主に据え、傀儡政権を樹立しますが毛利氏との戦いに敗れ終焉を迎えます。
続100名城のスタンプは、山口市歴史民俗資料館で押しました。 資料館が閉館している場合は大路ロビーでも押せるようです。 資料館では高嶺城の地図を期待したのですが見つからず、大内氏館跡がある龍福寺に向かう事にします。
龍福寺駐車場は、思ったよりも広かったので停める場所には困らなかったです。
龍福寺・山門
駐車場の目の前が龍福寺の山門です。
龍福寺は大内満盛が創建した瑞雲寺が始まりのようで、義隆が衰退していた寺を再建します。
龍福寺は大内氏滅亡時に焼失しますが、1557年、毛利氏が大内氏館跡に龍福寺を再建し、義隆の菩提寺とします。 まずは、静かに寺院内をお参りします。
龍福寺・宝現霊社
大内氏の祖は朝鮮半島の百済の王族だった琳聖太子と伝わりますが、実在した人物なのかは不明なようです。 宝現霊社は、琳聖太子から義隆までの歴代大内氏当主を龍福寺の鎮守として祀ります。
龍福寺・本堂
龍福寺の本堂は、1881年の火災で焼失しており、氷上山興隆寺の釈迦堂を移築して再建しました。
興隆寺の釈迦堂は、1521年に建立された歴史のある建物です。
ただ、実際に観て見ると、それほど古い建物には見えません。
どうやら、2006年から室町時代の姿に復元工事が行われたようで、屋根も瓦から桧皮葺に変わったようです。 本堂で静かに手を合わせます。
静かな境内です。
お寺に迷惑をかけないよう、静かに見学しましょう。
池泉庭園
大内氏館跡の南東部には大内氏の庭園が発掘調査で見つかっています。
庭園は 1400年末頃に造られ、何度か改修され大内氏が滅亡する頃まで使われていたようです。
発掘した遺構は埋め戻され、その上に 1500 年前半~中頃の様子を復元しています。
平安時代の浄土庭園を意識しているとの事。
井戸跡
池のそばには井戸も見つかっています。
庭園と同時期に掘られ、井戸の内壁が石で組まれた立派な物です。
井戸は 1500年代前半に埋め戻されました。
石組かまど
池泉庭園の北側には石組かまどの跡が見つかっています。
かまどは2つ並んでおり、近くからは調理具なども見つかっている事から、この辺りは台所だったようです。 かまどは庭園と同時期に造られたようです。
塼列建物
先ほどの石組かまど跡の西側には建物跡が発掘調査で見つかっています。
「塼(せん)」と呼ばれる煉瓦のような物で建てられており、中世の塼を使った建物は蔵として使われていた事から、ここにあったのは蔵だったと考えられています。
現在、遺構の上に建物が建っている為、建物の正確な大きさは不明です。
土塁?(東側)
館跡の東側にも土塁と堀があったと思います。
それっぽい雰囲気はありますが、当時の土塁なのかは不明です。
東側に土橋の跡が見つかっている事から、東側に出入り口があったのかと思います。
土塁(北側)
大内氏館跡の北側にある土塁。 高さは 1m くらいあります。
土塁は館を囲むように築かれ、土塁の上には塀がありました。 多分、土塁の外側には空堀があったようですが、現在は埋められています。
枯山水庭園
館跡の北西で見つかった枯山水庭園です。 大内義隆の時代に造園されたと考えられています。
実際に出土した石組を使用して復元されているようです。 公的は池泉庭園に対し、こちらは私的な場所だったと考えられています。
やはり、ここは軍事施設と言うより、生活や政務を行う場所だったようです。
西門
それほど大きな門では無い事から、正門では無く、屋敷の敷地を区分けする内門だったと考えられています。 1500年頃の大内館の西側は竪小路、南側は大殿大路の所まであったと推定されています。
石組溝
西門側も土塁のように少し盛り上がってますが、当時の遺構なのかは不明です。
ただ、その下では石組の水路が見つかっており、一部が修復して公開されています。
水路が西側に折れ曲がっている事も、館が竪小路の方まであったと推定される理由かと思います。
続100名城には、「大内氏館・高嶺城」として登録されています。
明日は、高嶺城の方に行ってみます。
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