奈良県 薬師寺(1)2023年11月24日

奈良県奈良市西ノ京町の薬師寺は世界遺産登録されている寺院の一つです。
680年に天武天皇が鵜野讃良皇后(後の持統天皇)の病気平癒を祈願して薬師寺の建立を発願しますが完成前に崩御。 持統天皇が後を継ぎ、697年に本尊薬師如来の開眼が行われました。 当時の薬師寺は藤原京に創建されていたようです。 平城京への遷都に伴い、710年に薬師寺も現在の場所に移ります。
その後、地震や火災による被害と再建を繰り返し、1528年の兵火では大きな被害を受けます。 奈良時代からの建物は東塔のみで、実際に訪問すると新しい寺院のような印象を受けます。

與樂門
薬師寺の白鳳伽藍入り口が與樂門で、近鉄西ノ京駅から徒歩で数分の近さです。
この門に関する説明が見当たらず、いつ頃に建立されたのかは不明ですが、それほど古い門には見えないですね...。
この門の先が受付です。 訪問時は東塔・西棟特別公開中で、玄奘三蔵院伽藍の拝観がセットになった共通券があったのでそれを購入しました。
薬師寺・與樂門

十字廊遺構
受付を通った先にあったのが十字廊遺構です。
文字通り、上から見ると十字の形をした建物でした。
この赤い部分が建物のあった場所で、発掘調査で見つかった礎石の位置も展示されています。 食殿の別名があり、食堂と繋がっていた事から食堂に付帯する建物だったようです。
左側の建物が食堂で、十字廊遺構がちゃんと食堂に繋がっています。
薬師寺・十字廊遺構

東僧坊
ここを通って伽藍の中心部に入ります。
内部に展示物もありますが、ほぼお土産屋さんですね...。
薬師寺・東僧坊

東僧坊で展示されていたのが薬師如来坐像台座の模型です。
模型とはいえ、金銅で鋳造された物なので、かなり忠実に再現されていると思います。
台座腰部のレリーフは、インドから伝わった力神の裸像です。 窓からのぞき見るような姿がユニークです。
薬師寺・薬師如来坐像台座

食堂
右側の建物が、先ほどまで中にいた東僧坊で、左側が食堂です。 その奥に少しだけ西僧坊が見えます。 訪問時、食堂内部は公開されておらず、普段は非公開のようです。
食堂は何度か再建されているようです。 恐らく、最初の食堂を 973年に焼失し、1005年に再建されています。 その食堂も、1528年の戦火で焼失したと思われます。
現在の食堂は 2017年に再建された建物です。
薬師寺・食堂、東僧坊

鐘楼
東僧坊から伽藍の中に入ると目の前にあるのがこの鐘楼です。
1937年に金堂の東に鐘楼が再建されています。 現在の金堂から見ると「東」とは言いずらい場所ですが、当時の金堂は 1944年に地震で大破しており、その後、現在の金堂が再建されています。 多分、この鐘楼は 1937年に再建された物で、金堂の場所が再建した時に変わったのでしょう...。
薬師寺・鐘楼

大講堂
非常に大きな講堂です。
少なくとも2回、 973年、1528年に焼失しています。 1852年に再建した講堂を解体して 2003年に再建されたのが現在の大講堂のようです。
薬師寺最大の建物のようで、当時の技法を使って再建されています。
江戸時代末期に再建された物を修復する選択肢もあったような気がしますが、あえて再建したのは少しでも白鳳時代の姿に戻したかったのかも知れませんね...。
薬師寺・大講堂

薬師寺・大講堂

薬師寺・大講堂

金堂
金堂は、地震や台風で倒壊します。 1524年に再建された金堂も、数年後の 1528年に発生した戦火で焼失します。 1600年に再建された金堂も老朽化し、1976年に現在の金堂が再建されました。 現在の金堂は、当時の技法で白鳳時代の様式に再建されています。
どうやら再建方法で意見対立があったらしく、内陣は防火性を考慮して鉄筋コンクリート製みたいですね...。
薬師寺・金堂

薬師寺・金堂

東廻廊
多分、伽藍を囲むように廻廊があったのだと思いますが、U 字型をしています。
再建された大講堂の両側に廻廊があったので、もしかしたらこの廻廊は大講堂まで繋がっており、廻廊が東塔、西棟、金堂を囲んでいたのかも知れません。
それとも、再建工事の都合で、あえて廻廊を連結してないのかな?
薬師寺・東廻廊

東院堂
薬師寺では数少ない古い建物です。
東院堂は、養老年間(717 ~ 724年)に吉備内親王が元明天皇の為に建立した御堂のようです。 当初は現在の観音池付近に南向で建てられたらしく、1285年に再建されたのが現在の建物のようです。 現在のように西向きに変わったのは 1733年のようです。
本尊の聖観世音菩薩像は、建物の共に国宝指定されています。
薬師寺・東院堂

薬師寺・東院堂

廻廊の外側を歩いて南門の方に移動します。
廻廊越しに見える東塔、西棟がかっこいいです。
薬師寺

南門
この門は見た目が新しく感じるので、最近建てられた門かと思ったら違いました...。
1512年に建立された重要文化財の門で、思ったよりも古い門でした。
建物の年代は見た目では分らないですね...。
現在はこの門からの出入りはできず、両脇にある出入り口から出入りします。
薬師寺・南門

中門
973年の火災で焼失した中門は 986年に再建されています。
1361年には地震で倒壊、1528年には戦火で焼失しています。
それ以降、中門が再建されたような情報が見当たらなかったので、1984年に現在の中門が再建されるまで放置されていたのかも知れません...。
でも、中門を挟んで両側に三重塔が建つ姿は迫力があります。 廻廊の外まで出てきた甲斐がありました。
薬師寺・中門