東京都 瀧泉寺(目黒不動尊)2021年08月08日

瀧泉寺(通称:目黒不動尊)は、808年に慈覚大師・円仁が開基したと伝わる寺院です。
円仁が最澄の元に向かう途中、目黒で宿泊する事になりました。 その時、不動明王が夢に現れ、その姿を模した像を彫り安置したのが瀧泉寺の始まりと伝わります。
江戸時代には観光地として栄えていたようで、門の前には店が並んでいたようです。
不動明王像を祀る事から、古くから「目黒不動」の通称が使われていたようです。

訪問当日は東京を台風がかすめる最悪の天候でしたが、午後から雨が止む予想だった事と、天候が悪い方が人が少ないだろうと言う事で行く事にしました。
途中、突風で傘が破壊されましたが...。

仁王門
1962年に再建された鉄筋コンクリート製の仁王門です。
先代の門は 1945年に行われた東京への度重なる空襲で焼けてしまったらしいです。
目黒不動・仁王門

仁王門と通って境内に入ると「地蔵盆」の幕が...。
7月13日から行われる「盂蘭盆会」は終わっていると思いますが、幕には「精霊燈明供養」とも書かれてます。 何かしらの関係がある行事なのでしょうか?
目黒不動

六地蔵
境内南西にある六地蔵で北側を向いてます。
地蔵菩薩の浄土「伽羅陀山」は南にあり、南を向いて祈れば北にいる私達の所に救いに来てくれます。 その為、この六地蔵は北を向いています。
目黒不動・六地蔵

腰立不動
境内に入って、一番西側にある御堂です。
御堂には屋根があり、そこに由緒書きがありますが、書かれている内容が抽象的でよく分かりません...。目黒不動尊のホームページでは「立身出世のお不動様」と紹介されています。
情報が少く年代も良く分からないお不動様です。
目黒不動・腰立不動

勢至堂
勢至菩薩を祀る事から勢至堂と呼ばれているよです。 勢至菩薩は、智慧の光ですべてのものを照らし、様々な苦難を遠ざけてくれるようですが、あまり名前を聞かない菩薩様です。
戦争被害を逃れたようで、江戸時代中期の建物のようです。 昔は前不動堂の前にあったようですが、修復の時に現在の場所に移されました。
目黒不動・勢至堂

この大雨も、この子にとっては恵の雨のようです。
こちらは、雨と風で大変ですが...。
目黒不動

前不動堂
前不動堂は、江戸時代中期の建てられたと考えられている建物で、場所的にも当時とそれほど変わっていないようです。 近くにあった勢至堂も現存している事から、この辺りは不思議な力で守られていたのかも知れません。
本尊は木造不動明王三尊立像。
目黒不動・前不動堂

垢離堂
独鈷の滝の近くにあり、そこで行う水垢離に関係するので「垢離堂」の呼び名なのかも知れません。 ここには青竜大権現が祀られています。
案内が無いので正確な所は不明ですが、水に関係している御堂だと思います。
目黒不動・垢離堂

独鈷の滝の不動明王
この不動明王の後ろに独鈷の滝があります。
この滝は、円仁が手にしていた独鈷を投げた所、水が湧き出てきたと伝わります。
今でもここで水垢離修行をする人がいるのか不明ですが、当時も熱心に祈る信者の方がいました。 ここは、境内でも神聖な場所なのかも知れません。
目黒不動・独鈷の滝の不動明王

男坂を上って本堂に移動します。
目黒不動・男坂

大本堂
本堂も戦災で焼失しており、現在の大本堂は 1981年に再建された鉄筋コンクリート製の建物です。 ここの本尊が円仁が彫ったとされる不動明王像のようですが、本堂が火災で焼けた時も本尊だけは無事だったと言う事でしょうか?
本尊は秘仏として非公開ですが、12年に一度、酉年に開帳されます。
目黒不動・大本堂

目黒不動・大本堂

大日如来坐像
大本堂の裏に大日如来坐像があるので、本堂裏に回ります。
1683年に造立された銅製の大日如来坐像です。 総高 385cm、座高 281.5cm
金色の光背が美しく、江戸時代の物とは思えない美しさです。 江戸時代には堂舎の中にあったようですが、空襲で堂舎が焼けてしまったのか、現在は屋外に祀られています。
目黒不動・大日如来坐像

愛染明王像
本堂周辺の仏像を拝観します。
説明が無かったので、いつ頃造立されたのかは不明です。
愛染明王は腕が6本ある、見た目の怖い仏像ですが、縁結びの御利益があるとされます。
絵馬を奉納する時、仏像を回るようで、男女で回る向きが違うようです。
目黒不動・愛染明王

微笑観世音菩薩
愛染明王像とは対照的で、穏やかな表情の美しい仏像です。
ギスギスした世の中なので、このように穏やかな表情で人に接したいものです。
目黒不動・微笑観世音菩薩

子守延命地蔵尊
地蔵菩薩は六道のどこにでも現れ救いの手を差し伸べてくれます。
多くの身代わり地蔵がありますが、生まれてくる子供の命を加護するのが子守延命地蔵と言った所でしょうか?
目黒不動・延命地蔵尊

護衛不動尊
大本堂周辺には沢山の仏像がありますが、その中で一番東側にある仏像です。
不通の不動明王像と、ほぼ同じ印象です。
目黒不動・護衛不動尊

鐘楼堂
鐘楼堂は大本堂手前の開けた場所を一番東側に行った所にあります。
先代は江戸時代中期に建立された貴重なもので、戦災も切り抜けたようですが  1951年に火災で焼失しました。 現在の鐘楼堂はその後に再建された物です。
朝晩6時に時間を伝える鐘が撞かれています。
目黒不動・鐘楼堂

帰りは女坂で。
男坂よりも緩やかなので、足の悪い方はこちらの方が良いかも知れません。
目黒不動・女坂

行者倚像堂
女坂を下りてくる途中にある御堂です。 中には 1796年に鋳造された「役の行者倚像」が祀られています。 役の行者倚(本名は役小角)は奈良時代の山岳修行者で、他の寺院でもたまに見かけます。 修験道の祖と言える人物ですね。
像は手で擦られたように黒光りしていますが、すり減っている感じはしません。
目黒不動・行者倚像堂

目黒不動・行者倚像

地蔵堂
お地蔵様と閻魔様、脱衣婆が祀られている御堂です。
雨が降っていたので、奥の方まで覗く事はしませんでしたが、隙間から中が見れるようです。
毎月24日の午後2時に法要が行われているようで、その日は中に入れたようですが、それを伝える立札が無くなってました。 コロナ過で自粛してるのかも知れません。
目黒不動・地蔵堂

都会の街中にある寺院ですが、思いの外、大きく立派な寺院でした。
台風による強風で参拝が困難な日でしたが、それでも参拝者が数人いました。
コロナ騒動が落ち着く事を祈願して帰る事にします。