北海道 苫小牧市ミール展示館 ― 2024年07月15日
ガイドブックで見つけて行ってみたかったのが、苫小牧にあるミール展示館です。
一番疑問に感じるのは、「なぜ、ミールが苫小牧にあるのか?」だと思います。 このミールは、1989年に名古屋で開催された世界デザイン博覧会に展示されていた予備機でした。 経済的に厳しかったソ連は展示していたミールをオークションにかけて売却し、翌年に苫小牧市の建設会社が再購入しました。 1998年、ミールは苫小牧市に寄贈されました。
不思議な縁を感じますが、ここにミールが展示されているのは「偶然」に近い物があります。
ミール展示館
この建物の中にミールの実物が展示されています。
駐車場はこの建物の隣にあります。 意外と認知度が低いのか、思ったよりも空いてました。
結構、貴重な物なので、もっとアピールしても良さそうに思えます。
天体観測室「クバント」
展示されているミールは「クバント」、「ミール本体(コアモジュール)」、「ドッキングポート」の3つの区画に分かれますが、大きすぎて横から全体の写真を撮るのは無理でした。
ここは「クバント」と呼ばれる天体観測モジュールで、1987年にミールにドッキングしました。
X線天体望遠鏡の他、ソーラーシステムによる姿勢制御装置が取付られ、コアモジュールの燃料節約にも役立ったそうです。
大きさは、長さ 5.8m、直径 4.15m、重量 11.5t 。
モジュールとの接合部分(後部ドッキングポート)です。
手前右下の黒いノズルがコアモジュールのメインエンジンで、ミールの高度を維持するのに使用します。
接合部分は思ったよりも細く華奢な印象を受けます。 多分、無重力状態なのでこの程度でも大丈夫なのでしょう。
なお、展示されている「クバント」以外にも、1989年に「クバント2」、1990年に「クリスタル」、1995年に「スペクトル」、1996年に「プリローダー」がモジュールとしてミールに接続しています。
なお、1997年にはプログレス輸送船がスペクトルと衝突する事故を起こしてます。
コアモジュールの姿勢制御用スラスターです。
「クバント」のジャイロと連動して姿勢をコントロールしていたようですが、もしかして「クバント」と連結するまではマニュアル制御?
ミール本体(コアモジュール)
ミールは 1986年に打ち上げられ、老朽化により 2001年に落下するまで 15年間運用されました。 設計寿命は 10年でしたが、それを越えて運用されて続けました。
その間、火災事故、プログレスとの衝突、エア漏れなど、事故や故障との戦いでした。 安全性は微妙だったのかも知れませんが、とにかく運用に耐え抜きました。
ミール内部の見学もできます。
奥に見える穴が前部ドッキングポートへの入り口です。
その手前が操縦席です。 赤い操縦席が逆向きに見えますが、背もたれのように高くなっている場所に足を通して操縦します。 無重力なので、そのように座って体を固定していたようです。 操縦パネルが結構、アナログな感じで時代の移り変わりを感じます。
こちらが後部ドッキングポート部分です。
上にある黄色い部分は降下式シャワー装置です。 ボックスを外して下ろすとシャワー室になります。 シャワー室の中では上から下に空気の流れを作り、下から水を回収します。
水の勢いが足りず、あまり利用されなかったとの事...。
こんなので本当に宇宙に行けたのかと思うほど古めかしい操作パネルです。
回線図のようなパネルも時代の古さを感じます。 今ならディスプレイ表示でしょう...。
プライベートルームです。
ここで音楽を聴いたり、本を読んでいたようです。
見た感じ、カセットテープのようです。 懐かしいですね...。
当時の宇宙食です。
当時は今ほど美味しく無かったと思います。
ポリャコフは 437日と 17時間 58分間宇宙に滞在しており、その記録は今でも破られていません。 1年以上、この狭い空間で生活するのは大変ですね...。
ドッキングポート
前部ドッキングポートには5カ所の接続口があります。
ここに色々なモジュールを接続して宇宙ステーションを構築します。
布が見えるので、「こんなので大丈夫なのか?」と思ったのですが、この布は太陽からの熱を遮る役割があるようです。 全体的な素材はアルミニウムです。
貴重な物が見学出来て良かったです。
ここは、意外と知られていない穴場スポットに思えます。
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