長崎県 崇福寺2023年05月04日

1629年、長崎に在留していた満洲人たちが故郷福州の僧侶を迎えて創建したのが崇福寺です。 よって、見た目も中国の影響を大きく受けている寺院です。
今回は、オランダ坂から崇福寺に路面電車で移動します。
メディカルセンターから5系蛍茶屋行きに乗り、西浜町で1系崇福寺行きに乗り換え、終点の崇福寺で下車します。 駅から三門(竜宮門)まで徒歩 5分程度です。

三門(竜宮門)
かなり特徴的な三門で、竜宮城のような門です。
1637年に建立されますが倒壊し、現在の門は 1849年に再建された物です。 その時に竜宮門と呼ばれる様式になったようです。 他の建物の多くは材料を中国で加工したようですが、この門は日本人技術者が中国人の指導を受けて日本で建立しました。
多分、ほとんどの日本人はこんな様式の門を作った事が無かったと思うので、さぞかし苦労したのだろうと思います。
崇福寺・三門

崇福寺・三門

第一峰門
1695年の建立した門で、1637年に三門が建立されるまでは、この門が三門でした。
この門の材料は中国で加工し、日本で組み立てています。 よって、中国人技術者の技量の高さが見れる貴重な門で、国宝指定を受けています。
軒下の変額付近の組物が非常に複雑です。 中国華南地方でも珍しい技法のようです。
崇福寺・第一峰門

崇福寺・第一峰門

第一峰門を内側から眺めた所。 屋根下の組み物が凄いです。
崇福寺・第一峰門

護法堂
墨書により、1731年の建立である事が判明しています。
祀られているのは韋駄天で、柱割りなどからも天王殿の様式に近い建物らしいです。
中国様式の建物ですが、所々、和風の作りが混在しているようです。 個人的には扉の渦巻き模様を見た時点で「中華風だなぁ」の印象です。
崇福寺・護法堂

崇福寺・護法堂

鐘鼓楼
中国で部材を加工して建立したと伝わりますが、棟札には享保13年(1728年)の年号と、荒木治右衛門の名が記載されているようです。 所々、和風の要素が取り入れられており、確かに、一般的な日本の寺院の建物に近い印象を受けます。
創建時は八角、もしくは六角円堂だったようなので、建て替えた時に和風に近い建物に変わったのかも知れません。
崇福寺・鐘鼓楼

大釜
1680年の不作により、長崎でも餓死者が出るほどの飢饉が発生します。
当時、崇福寺は寺の工事を行っており、直ぐには施粥が出来ませんでしたが、1682年に大釜を作り施粥を開始します。 この大釜は、その時の物です。
大きさは、口径 1.97m、深さ 1.82m もある巨大な物です。
崇福寺・大釜

大雄宝殿
釈迦如来像を祀る、崇福寺の本堂です。
長崎市で最古の現存建物で、国宝指定も受けています。
本堂は 1646年に建立され、何高材の寄付により中国で部材を加工して日本に運びました。
最初は単層屋根だったが、1681年の改修で上層屋根が取付けられたと考えられています。
本尊は釈迦如来坐像で、向かって右側に迦葉尊者像、左側に阿難尊者像が並びます。
仏像は、中国の仏師が作成した物です。
崇福寺・大雄宝殿

崇福寺・大雄宝殿

崇福寺・大雄宝殿

媽姐門
媽姐堂の正面にある門で、現在の門は 1827年に再建されました。
媽姐門に門があるケースは日本では少ないようです。
この後行く予定の興福寺の媽姐堂には門が無く、宇治の萬福寺には媽姐堂がありません。
福済寺の観音堂には門があり、この建物がは媽姐堂に該当しますが、原爆で焼失しています。 もっとも、日本に本格的な中国様式の寺院が少ない事も関係しているかも知れません。
崇福寺・媽姐門

崇福寺・媽姐門

媽姐門は、内側から見ると、意外と普通の和風の門です。
中華風の印象は感じません。
崇福寺・媽姐門

媽姐堂
媽姐は、道教の海上守護神なので、日本では馴染みが薄いかも知れません。
現在の建物は 1794年に再建された物です。
結構、爆心地に近いのですが、不思議な事に崇福寺は江戸時代の建物が多く残っています。 多分、原爆の投下地点との間にある金比羅山が影響しているのかも知れません。
起伏の多い長崎の地形が、生死を分けたように思えます。
崇福寺・媽姐堂

古い建物が残る、良い寺院です。
原爆が投下された長崎市内に、このような場所があるとは思いませんでした。


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